なぜアニメ業界は儲からないのか?

(C) 「SHIROBAKO」製作委員会 ※画像はイメージです

こんにちはJinke(@jinke_sbs)です。

アニメが好きな人ならば一度はアニメ業界への就職を考えたことはあると思います。アニメ『SHIROBAKO』もアニメが好きな5人の女の子がアニメ業界でそれぞれの形で奮闘するお仕事アニメで、私も含めて視聴した人は多いでしょう。

実際のところ、アニメ業界の懐事情とはどんなもんなんでしょうか。2016年はアニメ映画『君の名は。』の大ヒットにより歴代興行収入が240億円を突破し歴代4位となり(2017年2月19日現在)、『聲の形』も2016年11月30日の時点で興行収入20億円を突破し、『この世界の片隅に』もSNSで口コミがじわじわと広がり、2017年2月13日現在で興行収入20億円突破となっています。景気のいい話がたくさんありました。

ですが、アニメ業界は金回りが良くない業界であるともっぱら有名であり、就職や転職をするのを躊躇してしまう人もたくさんいます。実際に2016年ではアニメの何本かが納期を落としてしまったり、『ファンタジア』や『マングローブ』(2015年)などが倒産してしまったりと、景気が良くないニュースも目立つようになりました。

なぜアニメ業界は儲からないのか?問題はどこにあるのか?諸悪の根源は何なのか?

実は昨年のクリスマスに、オタキングこと岡田斗司夫氏とアニメ監督でヤマカンこと山本寛氏のクリスマス対談が行われました。

その対談にて、現在のアニメ業界の状況や問題点が解説されていたので紹介します。

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”製作委員会方式”とは

そもそもアニメはどのように製作されるのか。多くの人がご存知のように日本のアニメーションは”製作委員会方式”と呼ばれる手法で作られています。アニメのOPやEDの最後でよく見る”○○製作委員会”がそれですね。この手法は1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』の商業的成功以来、主流の製作方式となっています。

つまり、レコード会社やゲーム会社、時にはアニメスタジオ自身がお金を出資しあって一つのアニメを製作している訳です。

アニメの制作手法についてもっと知りたい方は、アニメを仕事に!という本に事細かく記載されているので参考にしてみてください。個人的にはすごくおすすめです。

ヤマカン氏が語る業界の悪しき慣習

昨年のクリスマスに、オタキングこと岡田斗司夫氏とアニメ監督でヤマカンこと山本寛氏で、『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~ 』と銘打ち、なんとも寂しいイベントが開かれました。

『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~ 』

その中でお二人がアニメ業界の悪しき習慣について言及していたので、抜粋してみましょう。

司会:アニメ業界、暗いのか明るいのかどっちなのでしょうか。

(中略)

ヤマカン:製作委員会というスキームそのものにもう問題があると思います。ここにメスを入れないとダメだということです。例えば、中国の配信業者が10億出しますと言っていて、でも製作委員会は10億頂きますヤッターとはならないじゃないですか。製作委員会の幹事会社が40%、50%握るには、10億来てもらったら困るんですよ。

岡田:困るよね。

ヤマカン:けど幹事会社の出資額には限度があるじゃないですか。40%の権利を得たいけど4000万しか出せません。ということは、その総額は1億で決まっちゃうんです、この瞬間に。この作品のために10億でも20億でも出すよと言っても出せないんですよ。

岡田:ちょっと翻訳させてね。つまり、10億あったら劇場アニメのすごく良いのができるし、中国の会社は10億でも20億でも30億でも出そうと言ってる。ところが、中国の会社に20億も30億でも出されてしまったら、中国の会社出資100%のアニメができてしまう。なので、それをまるでいけないこと、チャイナマネーの脅威みたいな言い方をしながら、でもお金は欲しいからどういう風になるのかというと、製作委員会方式を取りたい奴らがいて、結局それはレコード会社とか一部の会社、いつもいつもアニメの版権握っているような会社が、中心の版権の窓口やりたいとか手数料取りたいとか思っているところがあって、このアニメの制作費として2億以上かけちゃ困る、だって2億の予算で内は4000万しか出せないから、やっとこれでうちは20%じゃんと。で、20%以下になったら俺が会社の中での立場がなくなるよ、なのでこのアニメの予算は2億。えっ、中国の会社が20億出す?じゃあしょうがないな、その20億を10の作品で割りましょう。って言う風な形で作品を10ぐらい作って個々の作品の予算上限を2億や10億や数千万に留めたりして、コントロール権を握ろうとしている。

ヤマカン:だから本数が増えたんですよ。

岡田:俺の読みでいいの?

ヤマカン:ご名答です。

(『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~ 』69:35付近)

つまり、いくら「投資をします。」とやる気の会社がいくら存在しても、製作委員会の古参幹事会社が権利を握りたいがために、予算の上限を決めてしまって、それに応じて多額の予算も上限にあわせて小分けにされてしまうということなんですね。

ヤマカン:でも、その1本が10本に増えたものを受け止められる現場が無いんです。だから作れないんです。だから落ちるんです。簡単でしょ実は。

岡田:つまり、アニメに出資したがってる会社は多いんだけども、バジェットが上がりすぎると、これまで日本でアニメの出資をやってて、現場を仕切ってアニメの版権ビジネスから手を引きたくないオッサン達がバジェットの上限決めちゃってるから制作費が増えない。で、横の方向の制作本数だけが増えちゃう。

(『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~ 』71:50付近)

各シーズンでアニメの制作本数がやたらと多いのは、こういう事情があったからなんですね。

”製作委員会”以外の選択肢を

アニメ業界の悪しき習慣について語る二人

ヤマカン:やっぱりどこかで、製作委員会を完全否定するつもりは無いんですけれども、どこかで意識の変革、個々の意識の変革をもうちょっとやっぱりお金を出さないと良いものは作れないんじゃないか、もうちょっと作品一本一本大事にしないとアニメは盛り上がらないんじゃないかという、意識は持って欲しい。

(『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~ 』72:55付近)

それと同時に、ヤマカン氏は製作委員会方式を完全には否定されておらず、各会社が取れる選択肢を増やし、業界の個々の意識の変革が必要なのではないかと論じています。

まとめ

つまり、いくら海外の配信業者がアニメ制作に資本を投資したいと言っても、古参の製作委員会の方々が、その資本を小分けに分散させてしまうので、まとまったお金が現場に落ちるのは難しいと。なので、最近はアニメ本数ばかりが増えて、それに耐える人材がいないのでアニメの製作が落ちてしまうというカラクリだったのですね。

しかしだからと言って、「製作委員会を無くしてしまおう!」というのは極端な話になってしまいます。なぜなら、製作委員会は製作委員会で各会社が少額でも資本を投資できるシステムなので、これを歓迎するアニメスタジオも少なからず存在するはずだからです。要は、製作委員会のスキームにこだわらず、各人の意識の変革が重要なのでは?そういう話なわけです。

しかし、それを実現するためには、しがらみを断ち切ったり、仕事をもらえなくなる覚悟が必要なのでなかなか難しいのが現状でしょう…

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