アニメの制作進行として求められる人とは

『SHIROBAKO』公式PVより

2013年に半沢直樹が日本中で一大ブームを巻き起こした頃、大学生の就職先ランキングで銀行員が上位に登ったという話があった。それと同じように、2014年に放映されたSHIROBAKOの影響でアニメ業界に携わりたいと思う人は少なからずいただろう。

私も以前はこのアニメを見て「アニメスタジオで働いてみたいな」と漠然と思っていたが、業界の内部について解説した本や、業界に携わる方の動画を見る内に、自分はやめておこうとハッキリと考えるようになった。

SHIROBAKOの主人公、宮森あおいは制作進行という役割で働いている短大卒の女の子である。制作進行はアニメ制作にあたって重要なポジション、またアニメ業界を志すほとんどの新人が最初に経験するポジションだと言われている。

何か好きなものがある人ならば、一度はその業界で働いてみたいと誰しもが考える。では、アニメ業界で求められる人、特に制作進行ではどのような人が求められているのか、まとめてみたので紹介したい。(アニメ業界ではアニメーターや声優を始めたくさんの技術職が存在するが、今回は制作進行に絞って話を進める。)

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制作進行とは

そもそも制作進行とは何なのか。『アニメを仕事に!』(桝本和也)から引用すると次のような説明になる。

さて「制作進行」とは……ちょっとネットで調べてみると……。

「制作進行とはスケジュールを管理して、お金やスタッフを調整し、作品を作るサポートをする役職。納品に間に合わせるため、連日の徹夜や、各スタッフへの交渉を行う、非常につらい仕事。やめていく人間も多い。」

というふうに説明されていますね(かなり要約はしていますが……)。

(『アニメを仕事に!トリガー流アニメ制作進行読本』(桝本和也)より引用)

文章ではなかなか想像しづらいと思うが、各スタッフへの橋渡し役、アニメ制作の計画を進める人、といった感じで認識すればいいと思う。

アニメの制作に携わりたいが「自分は絵もかけないし、音響の技術もないし…」と考えて諦める人も居るかもしれない。しかし、制作進行では絵かきなどの特別なスキルは必要としないのだ。実際、普通の4年制大学を卒業し、制作進行としてアニメスタジオに就職する人もいる。(近年注目を浴びている3DCGアニメーターも、実は絵がかけないという人もいるので個人的には大変興味深かった。)

制作進行に求められる人物像とは

制作進行に求められる人物像とはどのような人か。一般的に、アニメスタジオに入社したら研修などはなくOJTで経験を積み上げていくものと言われている。

私が最近見て参考になりそうな動画があったのでここで紹介したい。

オタキングこと岡田斗司夫氏と、岡田氏と共にGAINAXを設立したメンバーの一人である赤井孝美氏の対談動画である。この対談は2012年に「クリエイティブと金」というテーマでニコニコ動画の岡田斗司夫chの企画として行われている。

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http://www.nicovideo.jp/watch/1343748263(視聴には有料chへの入会が必要。)

4年前の対談とは言え、業界に長年おられる赤井氏が語る内容は現在においても十分参考になる。

動画内で赤井氏が制作進行の立場について言及していたので、下記に書き起こしを一部抜粋してみた。

赤井:アニメの制作現場は、主に王立の頃なんですけどね。まあ言うたらみんなワガママやないですか。

岡田:はい。

赤井:私が言うのも何ですけど。僕らが20代の頃みたいなワガママさでは無いけれども、振り回されるわけですよ、やっぱしアニメーターとかにね。その中で制作進行っていうのは、少なくともうちだけではないと思うんですけど、今のアニメの現場ではやっぱり絵かける人が偉いっていう。

岡田:はいはい。

赤井:昔もあったけど、昔よりももっと上がってんですよ。逆に絵かけない奴は身分が低いんです。

岡田:村濱が嘆いてた。GAINAXは絵描きカースト制度があるから、俺たち絵が書かれへん人間は何言ってもあかんのですよって。

赤井:そうそう。それがまさになんて言いましょうか、GAINAXが成功したと言える唯一の例がこのGAINAX病が今業界に蔓延していて。 (笑)

岡田:(笑) 今アニメ業界全般絵かける奴が偉くなってんの?

赤井:だと思いますよ。勿論そうじゃない会社もあると思うんですけど、それが主流やと思いますよ。

(2012年8月1日配信 赤井孝美×岡田斗司夫対談「クリエイティブと金」(16:10付近)より)

あくまで赤井氏の一意見だが、アニメ業界やアニメスタジオにおいては、すべての会社がそうでないにしても「アニメーター>制作進行」という立場があるという。やはり、アニメの花形を担う作画や動画といった役職が重要であるがゆえにそうなってしまうのは想像に難くない。

また、制作進行の仕事の向き合い方について赤井氏が以下の様に言及している。

岡田:みんな普通の仕事だと思って入ってくるよね?給料がいくらくらいで、朝9時に入って5時には終わるとか。

赤井:それはやはり、ある程度は噂でそんなことは無いとは知っているんです。

岡田:ちょっとは知ってるんだ。

赤井:うん。例えば、熱心ですからいろんなアニメ業界のブログとか見て、みんな始発で帰っていくみたいな、そういうノリは分かってると思うんですけども。何でしょうね、大事にされないってのは正直あると思います。

岡田:あ!そうそう、だって現場に入ってきたら大事なのはスケジュールの要を握っている監督とかスタッフだから新人の「お前」っていう人間って誰も大事にしてくれないよね。

赤井:そこなんですよね

岡田:あぁ、そうだわ!うんうん。

赤井:アニメーション好きでアニメーションの業界入るからにはそこで一生懸命仕事したいっていう熱意はすごいあるわけでよ。だけど、制作進行で入ってきて、まぁあんまり大事にはされないですよね。

岡田:今「人材って使い捨てなのか?」ってコメントが書かれたんだけど、それはそうとも言えるわけでしょ。つまり、何かを使い捨てにしなきゃいけないとしたら、まず作品を使い捨てにする訳にはいかないと。

赤井:今してますけどね、業界的には。

岡田:まあまあ。次にスタッフに等級つけるとしたら、使い捨てにするわけにはいかないスタッフ、使い捨てにして良いスタッフって言う風に分かれてきちゃって、制作進行っていうのは一番使い捨てにされてもいい覚悟で一番下を支えてくれないと仕事全部が動かないわけでしょ。そこに大学卒業して最初に一番過酷な、言っちゃえば新人兵士が最前線立たされるようなもんだよね、アニメーションの仕組みって。

赤井:アニメーションの仕組みは大昔からそれなんですよ。

岡田:うんうん。

赤井:ただちょっと変わってきたのが、それに対して敏感になって早くやめると。僕、これは良いことだと実は思うんです。だから、向かないのに粘りの心で粘って粘って30歳前まで頑張ったけど、結局、制作進行の一番下から上がれない人って結構見たわけですよ。これはツラいなと。だけど、専門学校出て若い内にアニメの現場入って自分の好きな世界に入って特殊な業界も経験して、今新卒ですぐ就職しないといけないって時代でもないじゃないですか。だとすると、その人には引き出しができると思うんですよ。あと向かない業界に長くいてダメージ受けることもない。だから僕、好きな世界に飛び込むのはいいけど、向かないと思ったらすぐやめればいいとは思います

(2012年8月1日配信 赤井孝美×岡田斗司夫対談「クリエイティブと金」(18:50付近)より)

極端に言ってしまえば、自分が何の仕事に向いているは実際に仕事してみて経験してみないと分からないと思う。ただ、アニメが好きでアニメ業界に飛び込むのであれば、それなりの覚悟をした方が良さそうなのは間違いないだろう。

制作進行の必要要件(採用条件)は何か

アニメの制作進行はなかなか厳しい仕事なのは噂どうりだった。では、制作進行に実際になるとして特別なスキルとは別に必要なものは何なのか。これに関しても赤井氏が動画内で言及しているが、

  1. 普通自動車運転免許を持っていること。
  2. 体が丈夫であること。
  3. 精神的にタフに見えること。

の3点があればいいそうだ。あと「やる気は売り物に成りません!」とハッキリ言っている。アニメ業界目指す人はみんな基本的にやる気があるので、当たり前といえば当たり前の話だろう。

制作進行を考えている学生は、在学中に運転免許を取得しておくのをオススメする。

まとめ

今回は素人ながらも、制作進行に求められる人物像や必要条件を個人的にまとめて紹介してみた。

制作進行に求められる人物像は、

  • (当然アニメが好きであること)
  • 厳しい環境で仕事をする覚悟がある人

そして、必要条件は、

  1. 普通自動車運転免許を持っていること。
  2. 体が丈夫であること。
  3. 精神的にタフに見えること。

であることだ。つまり、体力的、精神的に強くて運転免許を持っていれば、制作進行として求められる要件はクリアしていることになる。

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